蕪崎太鼓台

 
作品名 蕪崎太鼓台 完成年 平成20年
金糸の種類 金糸 布団締めについて 巻尾
飾り幕の名称 上幕 【壇ノ浦の戦い】 阿形の龍と平知盛安徳天皇と二位の尼源義経と亀井六郎武蔵坊弁慶と平宗盛 高欄幕 【登龍門】 鯉と龍門龍宮阿形の飛龍龍宮
中幕の有無 重の段数
太鼓のメーカー 太鼓の大きさ

作品への想い

蕪崎という地は私の祖母の出里であり、曾祖父母が住んでいたため、そういう意味での思い入れがある土地です。 当時私は、究極の立体、厚みを追求し、太鼓台というのはどこまで厚みを出すことが可能なのかを考えていました。 しかし、蕪崎太鼓台は、氏神である蕪崎神社の鳥居の関係上、太鼓台の大きさに限界がありました。そこで、限られた寸法の中でも、他の太鼓台と比べて見劣りしないようにという想いで、限界の厚みというものに挑戦した太鼓台です。 平成20年に新調されましたが、又野太鼓台のところでも触れているように、この年は中国蘇州における太鼓台飾り幕の生産能力がピークに達した年であります。部品(パーツ)の多さでは、この蕪崎太鼓台が、おそらく弊社の作品の中でもナンバーワンであろうと思いますが、蘇州の最高技術をいかんなく発揮することが出来た時期だから故に可能であったと思います。 この蕪崎太鼓台のテーマは『限りなき前進』です。

布団締めについて

布団締めは顔を大きくした方が遠目に見て判りやすいのではないかという感覚を持っていた時期で、顔を大きく強調しています。とはいえ、他と同じことはしたくなかったので、鱗の作り方を工夫し、従来の物とは違って、金駒を別に作ってそれを張り合わせるという方法をとっています。

上幕 壇ノ浦の戦い

阿形の龍と平知盛

上幕は「壇ノ浦の戦い(源平合戦)」の物語ですが、『限りなき前進』がテーマということで、最初と終わりがないように、全ての幕がつながるようにしています。 平知盛は平清盛の四男で二位の尼の子。壇ノ浦の戦いで平家滅亡を見届け、碇を体に巻き付け入水しました。 ここでは『船弁慶』で描かれるように、亡霊となって源氏に立ち向かう姿を表現しています。

安徳天皇と二位の尼

安徳天皇と、安徳天皇の祖母で平清盛の妻である二位の尼(平時子)は、三種の神器の神璽と宝剣を身につけ入水。 平氏の無念をなぞらえ、「平氏の亡霊が乗り移った」という伝説がある平家蟹によって隣の幕とつながっています。

源義経と亀井六郎

壇ノ浦の戦いで次から次に船を飛び移った「八艘跳び」が有名な源義経と、義経四天王の1人である亀井六郎を描いています。

武蔵坊弁慶と平宗盛

源義経に仕えた荒法師、武蔵坊弁慶と、平氏の棟梁である平宗盛(平清盛の三男で二位の尼の子)を描いています。

高欄幕 登龍門

鯉と龍門

『限りなき前進』がテーマということで、高欄幕には「登龍門」(龍門という急流を登り切った鯉は龍になるという中国の伝説)を表現しました。 ここでは、西洋の図柄が東洋の太鼓台に合うかどうかということに挑戦したいという想いから、鯉の姿はイタリアのガラスメーカーの図柄を参考にしました。鯉の横の花の模様等もヨーロッパ風に表現しています。

龍宮

今まで御殿物の飾り幕は横から見た図柄しかなかったので、上から見ても良いのではという想いで、上から見た図柄を初めて表現しました。 また、『限りなき前進』のテーマに合わせ、本来の並びとは違いますが、龍宮の二枚を並べてもつながるようになっています。

阿形の飛龍

『登龍門』の伝説になぞらえ、鯉から進化したように飛龍を表現しています。 また、鯉から進化するということで、羽にも鱗のような透明感があるということを表現したいと考え、羽を透かしています。

龍宮

今まで御殿物の飾り幕は横から見た図柄しかなかったので、上から見ても良いのではという想いで、上から見た図柄を初めて表現しました。 また、『限りなき前進』のテーマに合わせ、本来の並びとは違いますが、龍宮の二枚を並べてもつながるようになっています。