田之上太鼓台

作品名 田之上太鼓台 完成年 平成14年
金糸の種類 布団締めについて
飾り幕の名称 上幕 陽明門輪蔵殿唐門神楽殿 飾り幕の名称 高欄幕 龍頭名古屋城
中幕の有無 有り 重の段数
太鼓のメーカー 大笹屋 太鼓の大きさ 2尺2寸5分

作品への想い

新居浜型太鼓台のデビュー作であった垣生本郷太鼓台と比較し、田之上太鼓台ではメリハリを付け、幕においては若干コンパクトな幕に仕上げるという事をテーマとしました。布団締めにおいては最大60センチ近い立体表現を行っていますが、上幕と高欄幕においては御殿の屋根の張り出し等を極力抑え、なおかつ立体表現を行うという、相反するものを可能とするために描画の段階で遠近法を初めて採用しました。 図柄においては過去の田之上太鼓台のものからチョイスし、新たな解釈を加えたものが主となっています。

布団締めについて

新居浜型の布団締めの王道といえる大き目の頭部、太身の胴が特徴で、厚さは最大60センチ近くあります。鱗は一枚一枚を別々に縫い最後に組み合わせる差しウロコ手法を採用しています。また一枚のウロコの中に違う種類の金糸を入れ、そしてウロコの縁取りにも違う金糸を使用するなど、一枚一枚をより際立たせたものとしました。図柄は昭和初期に山下縫い師が製作したものをベースとし、それに私の解釈を加えたものとなっています。

上幕

陽明門

屋根の張り出しを抑え、非常にコンパクトに見えますが遠近法により非常に奥行きのある作品に仕上げております。斗栱(ときょう)は一枚一枚別に縫い上げ、その後組み上げるという本物と同じ製作手法をとりました。また斗栱以外でも柱の龍など、陽明門の緻密な構造物を忠実に再現することに重きを置きました。屋根の瓦は一枚一枚を別々に縫い、組み立て時に乗せていく本物の家屋と同じ製作手法です。

輪蔵殿

図柄的には新居浜型の太鼓台でよく使われる非常にベーシックなものです。陽明門と同様で、斗栱など神社の構造物をどれだけ緻密に表現できるかという事に主眼を置いております。屋根の瓦は一枚一枚を別々に縫い、組み立て時に乗せていく本物の家屋と同じ製作手法です。

唐門

以前の三仏殿の幕の代わりに今回の新調では唐門と虎という図柄を採用しました。建物と併せて彫刻等の構造物を忠実に再現しました。屋根の瓦は一枚一枚を別々に縫い、組み立て時に乗せていく本物の家屋と同じ製作手法です。

神楽殿

この幕でも遠近法を取り入れ緻密かつ奥行きのある幕に仕上げております。神楽殿の全景はあえて表現せず、回廊の花鳥と併せた全体の雰囲気作りに重きを置きました。

高欄幕

龍頭

図柄はご存知のように「威勢」「勢い」を表したものです。古くからの製作手法をベースに新たな解釈を加えて立体を表現した作品となっています。また龍の胴体はこの幕から始まり高欄幕全体をぐるりと巻いた図柄となっています。

名古屋城

田之上太鼓台伝統の図柄です。山下縫い師が昭和初期に製作したものをベースに、最新の素材、手法を用いてより立体的に表現しました。屋根の瓦は一枚一枚を別々に縫い、組み立て時に乗せていく本物の家屋と同じ製作手法です。

図柄は中国の銀川にある西夏王陵博物館にあるものをベースにし、太鼓台の飾り幕に合う形にアレンジしたものです。龍のウロコ同様、羽を一枚一枚別に縫い、最後に組み合わせる手法を採用しています。羽の表と裏、そして羽ばたきの表現に重きを置きました。

これも田之上太鼓台伝統の図柄です。山下縫い師が昭和初期に製作したものをベースに、最新の素材、手法を用いてより立体的に表現しました。また以前と比べ鯱を前方で大きく表現し、より威圧感のある作風としました。ウロコは龍と同様、一枚一枚を別に縫い、最後に組み合わせる手法を採用しています。